2026年版・6-4

耐震診断・耐震改修の一問一答

マンション管理士「マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること」から、耐震診断・耐震改修に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問16-4

いわゆる新耐震基準に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①旧耐震基準と異なり、中規模の地震に対する検討を一切行わない基準である。
  • ②昭和56年6月1日以後に建築確認を受けた建築物に適用される基準のことである。
  • ③平成7年の阪神・淡路大震災の発生を契機として導入された基準のことである。
  • ④極めてまれに発生する大規模の地震に対し、無被害であることを求める基準である。
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正解 ②昭和56年6月1日以後に建築確認を受けた建築物に適用される基準のことである。
解説
新耐震基準は、昭和53年の宮城県沖地震の被害を踏まえた建築基準法施行令の改正により導入され、昭和56年6月1日に施行された。したがって、同日以後に建築確認を受けた建築物が新耐震基準による建築物である。竣工時期ではなく建築確認の時期を基準とする点に注意が必要で、昭和56年6月1日以後に完成した建物であっても、確認がそれ以前であれば旧耐震基準による建物となる。新耐震基準の考え方は、まれに発生する中規模の地震(震度5強程度)では損傷を生じさせず、極めてまれに発生する大規模の地震(震度6強から7程度)では損傷は許容しつつ倒壊・崩壊させないというものである。

他の選択肢が不適切な理由
新耐震基準の導入は昭和56年であり、平成7年の阪神・淡路大震災の発生を契機とするものではない。同震災を契機に制定されたのは建築物の耐震改修の促進に関する法律であるから、この記述は時期と契機を取り違えている。大規模の地震に対して求められるのは倒壊・崩壊を防いで人命を守ることであって、無被害であることまでは求めていないので、無被害を求めるという記述も誤りである。新耐震基準は中規模の地震に対する一次設計(許容応力度計算)と大規模の地震に対する二次設計の二段階で構成されるから、中規模の地震に対する検討を一切行わないという記述も誤りである。
問26-4

建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①二次設計は、大規模の地震に対して建築物が倒壊・崩壊しないことを確かめるものである。
  • ②旧耐震基準においては、保有水平耐力の検討が一般に義務付けられていなかった。
  • ③新耐震基準では、許容応力度計算を行わずに保有水平耐力計算のみを行うものとされる。
  • ④一次設計は、中規模の地震に対して建築物が損傷しないことを確かめるものである。
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正解 ③新耐震基準では、許容応力度計算を行わずに保有水平耐力計算のみを行うものとされる。
解説
新耐震基準は二段階の検証で構成される。第一段階(一次設計)では、中規模の地震による力に対して各部材の応力が許容応力度以内に収まることを許容応力度計算により確かめる。第二段階(二次設計)では、大規模の地震に対して建築物が保有する水平耐力が必要保有水平耐力を上回ることなどを確かめる。すなわち許容応力度計算は新耐震基準においても引き続き行われるのであり、これを行わず保有水平耐力計算のみを行うという記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
一次設計は、まれに発生する中規模の地震に対して建築物の各部材に損傷を生じさせないことを目標とするものであるという記述は正しい。二次設計は、極めてまれに発生する大規模の地震に対して人命を守るため倒壊・崩壊を防止することを目標とするものであるという記述も正しい。旧耐震基準では許容応力度計算による一次設計が中心で、保有水平耐力の検討は一般には求められていなかったという記述も正しく、この点が旧耐震基準による建物の耐震性能に不安が残る理由の一つである。
問36-4

耐震診断における構造耐震指標(Is値)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①Is値が0.3以上であれば、地震の震動等に対して倒壊等の危険性が低いと判断される。
  • ②Is値は、建築物の保有性能基本指標のみによって定まる指標とされているものである。
  • ③Is値が大きいほど、地震に対する建築物の安全性は低くなると評価されることになる。
  • ④Is値が0.6以上であれば、地震の震動等に対して倒壊等の危険性が低いと判断される。
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正解 ④Is値が0.6以上であれば、地震の震動等に対して倒壊等の危険性が低いと判断される。
解説
Is値(構造耐震指標)は、既存の鉄筋コンクリート造建築物等の耐震性能を表す指標で、保有性能基本指標(E0)に、平面・立面の形状の偏りを表す形状指標(SD)と、経年劣化の程度を表す経年指標(T)を乗じて各階・各方向について算定される。国土交通省告示が定める判定指標によれば、Is値が0.6以上であれば地震の震動及び衝撃に対して倒壊し又は崩壊する危険性が低いとされ、0.3以上0.6未満では危険性があるとされ、0.3未満では危険性が高いとされる。

他の選択肢が不適切な理由
0.3という値は、これを下回ると倒壊等の危険性が高いと判断される水準であって、これを上回れば危険性が低いと判断される水準ではないから、0.3以上で危険性が低いとする記述は誤りである。Is値は保有性能基本指標に形状指標と経年指標を乗じて求めるものであるから、保有性能基本指標のみによって定まるという記述も誤りである。Is値は大きいほど耐震性能が高いことを意味するので、大きいほど安全性が低くなるという記述も誤りである。
問46-4

鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①第1次診断法は最も精度の高い方法であるため、壁の少ないラーメン構造に適している。
  • ②第1次診断法は、柱や壁の断面積とコンクリート強度から略算的に耐震性能を求めるものである。
  • ③第2次診断法は、柱や壁の終局強度を考慮するもので、実務上広く用いられているものである。
  • ④第3次診断法は、梁の強度も考慮して建築物全体の終局的な耐力を評価するものである。
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正解 ①第1次診断法は最も精度の高い方法であるため、壁の少ないラーメン構造に適している。
解説
鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断には第1次から第3次までの診断法があり、次数が上がるほど検討する部材や破壊形式が詳細になり精度が高くなる。第1次診断法は柱と壁の断面積とコンクリート強度から略算するもので、簡便である反面精度は最も低く、壁が多い建物の概略評価に向いている。壁が少なく柱の挙動が支配的なラーメン構造では、柱の終局強度を評価できる第2次診断法以上によらなければ適切な評価ができない。したがって第1次診断法が最も精度が高くラーメン構造に適するという記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
第1次診断法が柱・壁の断面積とコンクリート強度から略算的に耐震性能を求めるものであるという記述は正しい。第2次診断法は柱・壁など鉛直部材の終局強度と靱性を考慮するもので、梁が十分強いと仮定する前提のもと実務上最も広く用いられているという記述も正しい。第3次診断法は梁の強度も考慮して建築物全体の終局耐力を評価するもので、最も詳細な方法であるという記述も正しい。
問56-4

建築物の耐震改修の促進に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①所管行政庁は、報告を受けた耐震診断の結果を公表することを法律上禁止されている。
  • ②特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い必要に応じ改修する努力義務を負う。
  • ③要安全確認計画記載建築物の所有者には、耐震診断を実施すべき義務は課されていない。
  • ④この法律の対象となる建築物は、昭和56年6月1日以後に着工されたものに限られている。
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正解 ②特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い必要に応じ改修する努力義務を負う。
解説
建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)は、地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命・身体・財産を保護するため、既存耐震不適格建築物の耐震診断と耐震改修を促進する法律である。同法14条・16条は、一定規模以上の多数の者が利用する建築物や危険物を取り扱う建築物などの特定既存耐震不適格建築物、及びその他の既存耐震不適格建築物の所有者に対し、耐震診断を行い、必要に応じ耐震改修を行うよう努めなければならないという努力義務を課している。分譲マンションも既存耐震不適格建築物として同法の枠組みの対象となり得る。

他の選択肢が不適切な理由
要安全確認計画記載建築物(都道府県耐震改修促進計画等に記載された病院・官公署等の避難路沿道建築物など)の所有者は、期限までに耐震診断を行い所管行政庁に結果を報告する義務を負うのであって、義務が課されていないという記述は誤りである。同法の対象となる既存耐震不適格建築物は現行の耐震関係規定に適合しない建築物であり、その多くは昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたものであるから、昭和56年6月1日以後に着工されたものに限られるという記述も誤りである。所管行政庁は報告された耐震診断の結果を公表しなければならないとされており、公表が禁止されているという記述も誤りである。
問66-4

耐震改修促進法25条に基づく区分所有建築物の耐震改修に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①この認定を受けるためには、あらかじめ区分所有者全員の同意を得ていることが前提となっている。
  • ②この認定の申請は、管理者等ではなく各区分所有者が個別に行うべきものとされているのである。
  • ③耐震改修を行う必要がある旨の認定を受けた場合、共用部分の変更は集会の普通決議で決することができる。
  • ④耐震改修を行う必要がある旨の認定を受けた場合でも、共用部分の変更には各4分の3以上の決議を要する。
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正解 ③耐震改修を行う必要がある旨の認定を受けた場合、共用部分の変更は集会の普通決議で決することができる。
解説
耐震改修促進法25条1項は、区分所有建築物の管理者等が所管行政庁に対し、その建築物について耐震改修を行う必要がある旨の認定を申請することができると定め、同条2項の認定を受けたものが要耐震改修認定建築物となる。そして同条3項は、要耐震改修認定建築物の耐震改修が区分所有法17条1項の共用部分の変更に該当する場合について、同項の「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議」を「集会の決議」と読み替えると定めている。その結果、通常であれば特別多数決議を要する共用部分の著しい変更であっても、区分所有者及び議決権の各過半数による普通決議で決することができ、耐震改修の実施が円滑になる。

他の選択肢が不適切な理由
この認定を受けた場合の効果はまさに決議要件の緩和であるから、認定を受けても各4分の3以上の決議を要するという記述は制度の意義を否定するもので誤りである。認定の申請にあたって区分所有者全員の同意が前提とされるという規定は存在せず、全員同意が必要であればそもそも決議要件を緩和する意味がないから、この記述も誤りである。認定の申請主体は管理者等(管理者又は理事)とされているので、各区分所有者が個別に申請するという記述も誤りである。
問76-4

マンションの耐震改修の工法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①既存の柱と梁で囲まれた部分に鉄骨ブレースを設置し、建物の強度を高める工法がある。
  • ②柱に鋼板や炭素繊維シートを巻き付けることにより、柱の靱性を高める工法がある。
  • ③耐震スリットを設けて柱の短柱化によるせん断破壊を防ぎ、変形性能を改善する工法がある。
  • ④住戸内の間仕切壁を石膏ボードに取り替えることにより、耐震性能を大きく高められる。
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正解 ④住戸内の間仕切壁を石膏ボードに取り替えることにより、耐震性能を大きく高められる。
解説
耐震改修の考え方は、建物の強度(耐力)を高める方法と、粘り強さ(靱性)を高める方法、そして地震入力そのものを低減する方法に大別される。住戸内の間仕切壁は一般に構造耐力を負担しない非耐力壁であり、これを石膏ボードに取り替えても建物の水平耐力や変形性能はほとんど変わらない。したがって、これにより耐震性能を大きく高められるという記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
既存の柱と梁で囲まれた構面に鉄骨ブレース(筋かい)を設置して水平力に抵抗させ、建物全体の強度を高める工法は代表的な強度型の改修であり、記述は正しい。柱に鋼板を巻き立てたり炭素繊維シートを巻き付けたりしてコンクリートを拘束し、柱の変形性能(靱性)を高める工法も広く用いられており、記述は正しい。腰壁・垂れ壁と柱との間に耐震スリットを設けて柱の短柱化を解消し、脆性的なせん断破壊を防いで変形性能を確保する工法も代表的な靱性型の改修であり、記述は正しい。
問86-4

既存マンションの免震改修及び制振改修に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①免震レトロフィットは、既存建物の基礎や中間階に免震装置を組み込む改修である。
  • ②免震改修を行う場合、居住者が住みながら工事を進めることは技術的に不可能である。
  • ③制振改修は、建物の固有周期を短くすることで地震の入力を低減させる工法である。
  • ④免震装置に用いられる積層ゴムは経年劣化しないため、定期的な点検は不要である。
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正解 ①免震レトロフィットは、既存建物の基礎や中間階に免震装置を組み込む改修である。
解説
免震レトロフィットとは、既存の建物に対して事後的に免震化を行う改修をいい、基礎の直上に免震層を設ける基礎免震方式のほか、建物の途中階に免震層を設ける中間層免震方式がある。上部構造にほとんど手を加えずに耐震性能を大幅に向上させられるため、居住しながらの工事が可能な場合が多いこと、内装や外観への影響が小さいことが利点である一方、工事費が高額になりやすい。

他の選択肢が不適切な理由
免震レトロフィットはむしろ居住しながらの施工に適した工法として位置付けられており、住みながらの工事が技術的に不可能という記述は誤りである。制振改修はダンパー等により振動エネルギーを吸収して揺れを低減する工法であって、建物の固有周期を短くするものではないから、この記述も誤りである(固有周期を長くして地震力を低減するのは免震である)。積層ゴムをはじめとする免震装置も経年変化や地震時の変形の影響を受けるため、竣工時検査に加えて定期的な点検・計測が必要であり、点検が不要という記述も誤りである。
問96-4

マンションの耐震性に関する次のア〜エの記述のうち、適切なものの組み合わせはどれか。
ア 1階が駐車場等のピロティになっている建物は、1階の耐力・剛性が上階に比べて小さくなりやすく、地震時に1階に被害が集中しやすい。
イ 平面形状や立面形状が複雑で、剛性や重量の分布に偏りがある建物は、地震時にねじれ振動を生じやすい。
ウ 建物の重量が大きいほど地震時に建物へ作用する地震力は小さくなるため、重い建物ほど耐震上有利である。
エ 耐震診断で用いる経年指標(T)は、建築物の劣化の程度が大きいほど大きな値となる。

  • ①アとイ
  • ②アとエ
  • ③イとウ
  • ④ウとエ
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正解 ①アとイ
解説
アは適切である。ピロティ形式の建物は1階に耐力壁がほとんどないため、上階に比べて水平耐力と剛性が小さくなり、大地震時に1階だけに変形と損傷が集中する。イも適切である。剛性の中心(剛心)と重量の中心(重心)がずれている建物では、地震時に並進振動に加えてねじれ振動が生じ、建物の隅の柱などに大きな変形が集中して被害が拡大しやすい。この偏りは耐震診断において形状指標(SD)として評価される。

他の選択肢が不適切な理由
ウは適切でない。建物に作用する地震力は、おおむね建物の質量(重量)に比例して大きくなるから、重い建物ほど大きな地震力を受けることになり、耐震上は不利である。エも適切でない。経年指標(T)は、ひび割れ・変形・老朽化の程度に応じて建物の耐震性能を低減させるための指標であり、劣化が進んでいるほど小さい値(1.0を上限として低減された値)となる。したがって適切なものはアとイの組合せである。
問106-4

建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく認定制度等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①耐震改修計画の認定を受けた建築物は、建築基準法の一部の規定について特例を受けることができる。
  • ②地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定を受けた建築物は、その旨を表示できる。
  • ③所管行政庁は、必要があると認めるときは建築物の所有者に対し指導及び助言を行うことができる。
  • ④耐震診断の結果の報告を受けた所管行政庁は、その結果を公表してはならないものとされている。
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正解 ④耐震診断の結果の報告を受けた所管行政庁は、その結果を公表してはならないものとされている。
解説
耐震改修促進法は、要安全確認計画記載建築物の所有者から耐震診断の結果の報告を受けた所管行政庁が、その結果を公表しなければならないと定めている。建築物の耐震性に関する情報を利用者に明らかにし、社会的な関心を通じて耐震化を促すという同法の趣旨に基づくものであり、公表が禁止されているという記述は正反対で誤りである。

他の選択肢が正しい理由
耐震改修計画の認定(法17条)を受けた建築物については、耐震改修に伴う増築等について建築基準法の建蔽率・容積率の制限や耐火建築物に関する規定などの特例が認められるほか、確認済証の交付があったものとみなされるので、この記述は正しい。建築物の地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定(法22条)を受けた建築物は、その建築物・敷地の見やすい場所や広告等に基準適合認定建築物である旨の表示を付すことができるので、この記述も正しい。所管行政庁が建築物の所有者に対し必要な指導・助言を行うことができるという記述も、同法に定められた措置であり正しい。

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