2026年版・6-13

大規模修繕計画の基礎の一問一答

マンション管理士「マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること」から、大規模修繕計画の基礎に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問16-13

マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①建物の劣化を回復させ、資産価値と居住性を維持することを目的とする。
  • ②外壁塗装の塗替えの周期は、おおむね12年から15年が目安とされる。
  • ③足場を架けて外壁や防水をまとめて行うことで、費用の効率化を図れる。
  • ④大規模修繕工事は、建替えを前提とした準備工事と位置付けられている。
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正解 ④大規模修繕工事は、建替えを前提とした準備工事と位置付けられている。
解説
大規模修繕工事は、経年により劣化した建物の性能・機能を新築時と同等の水準まで回復させ、居住性と資産価値を維持することを目的として、足場の設置を伴う大がかりな修繕を計画的に行うものである。建替えを前提とした準備工事ではなく、むしろ建物を長く使い続けるための維持保全行為であるから、この記述が誤りである。

他の選択肢が正しい理由
劣化の回復と資産価値・居住性の維持を目的とするとする記述は、大規模修繕工事の趣旨に合致しており正しい。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは令和6年6月の改定で修繕周期の目安に幅を持たせており、外壁塗装の塗替えについておおむね12年から15年としているため、この記述も正しい。仮設足場は費用に占める割合が大きいため、外壁補修・塗装・シーリング・屋上防水などを同じ足場でまとめて実施することは費用の効率化につながり、この記述も正しい。
問26-13

建物の修繕と改良(改修)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①修繕は性能を新築時より高める行為で、改良は性能を維持する行為である。
  • ②修繕は性能を新築時の水準に戻す行為で、改良は性能を高める行為である。
  • ③修繕と改良は同義であり、いずれも性能の向上を伴う行為を意味している。
  • ④改良は日常的な小修繕を指し、修繕は計画的に行う工事のみを意味する。
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正解 ②修繕は性能を新築時の水準に戻す行為で、改良は性能を高める行為である。
解説
建物の維持保全において、修繕とは劣化した部材や設備の性能・機能を新築時と同等の水準まで回復させる行為をいい、改良(グレードアップ)とは新築時にはなかった性能や機能を付加し、あるいは新築時の水準を上回るように向上させる行為をいう。実際の大規模修繕工事では、防水や塗装の修繕とあわせて、断熱性や防犯性を高める改良を組み合わせて行う「改修」として実施されることが多い。したがって、この記述が最も適切である。

他の選択肢が不適切な理由
修繕を新築時より性能を高める行為とし、改良を性能の維持とする記述は、両者の内容を逆に述べたものであり誤りである。修繕と改良を同義とする記述は、性能の回復と向上という目的の違いを無視しており誤りである。また、修繕には日常的に生じる不具合に対応する経常修繕と、計画的に実施する計画修繕の双方が含まれるから、修繕を計画的な工事のみとし改良を小修繕とする記述も誤りである。
問36-13

大規模修繕工事の発注方式に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①責任施工方式では、設計者を別に選任することが法令上義務付けられる。
  • ②責任施工方式は、調査から施工までを同一の施工者に任せる方式である。
  • ③設計監理方式は、第三者の立場から工事の品質を確認しやすい利点がある。
  • ④設計監理方式は、設計・監理と施工を別の者に分離して発注する方式である。
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正解 ①責任施工方式では、設計者を別に選任することが法令上義務付けられる。
解説
責任施工方式は、調査・診断から改修設計、施工までを同一の施工者に一括して任せる方式であり、設計者を別に選任することを義務付ける法令上の定めはない。窓口が一本化され手続が簡素になる反面、工事内容や見積りの妥当性を第三者が検証しにくいという課題がある。したがって、この記述が誤りである。

他の選択肢が正しい理由
設計監理方式は、設計・工事監理を行う設計事務所等と、施工を行う施工者を分離して発注する方式であるとする記述は正しい。責任施工方式が調査から施工までを同一の施工者に任せる方式であるとする記述も正しい。設計監理方式では、施工者から独立した第三者である工事監理者が設計図書どおりに施工されているかを確認するため、品質の確保や透明性の面で利点があるとされており、この記述も正しい。
問46-13

大規模修繕工事と総会の決議に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①外壁の補修や屋上防水の改修は、通常は普通決議で実施することができる。
  • ②階段室を改造してエレベーターを新設する工事は、特別決議を要する。
  • ③工事の内容にかかわらず、大規模修繕工事は常に特別決議を必要とする。
  • ④共用部分の変更のうち、著しい変更を伴わないものは普通決議で足りる。
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正解 ③工事の内容にかかわらず、大規模修繕工事は常に特別決議を必要とする。
解説
区分所有法17条1項は、共用部分の変更のうち「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」を除いたものについて、区分所有者及び議決権の各過半数が出席した集会で、出席した区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成による特別決議を要すると定めている。逆に言えば、著しい変更を伴わない工事は同法18条1項の管理に関する事項として普通決議で足りる。外壁補修や屋上防水の改修など、従前と同等の仕様に戻す通常の大規模修繕工事は普通決議で実施できるため、常に特別決議を要するとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
外壁補修や屋上防水の改修が通常は普通決議で足りるとする記述は、上記の区別に合致しており正しい。階段室を改造してエレベーターを新設する工事は、共用部分の形状又は効用の著しい変更に当たり特別決議を要するとされており正しい。共用部分の変更のうち形状又は効用の著しい変更を伴わないものが普通決議で足りるとする記述も、区分所有法17条1項括弧書きの内容そのものであり正しい。
問56-13

大規模修繕工事の一般的な進め方に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①調査・診断の結果を踏まえて、修繕の範囲や仕様を決定していく。
  • ②施工者の選定に当たっては、複数社から見積りを取り比較検討する。
  • ③工事に先立ち、居住者への説明会を開催し理解と協力を求める。
  • ④工事の内容は理事会限りで決定してよく、総会に諮る必要はない。
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正解 ④工事の内容は理事会限りで決定してよく、総会に諮る必要はない。
解説
大規模修繕工事は多額の修繕積立金を取り崩して実施する重要な事項であり、標準管理規約48条は、修繕積立金の取崩しや長期修繕計画の作成・変更を総会の決議事項としている。したがって、工事の内容や請負契約の締結、資金計画については総会の決議を経る必要があり、理事会限りで決定できるとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
大規模修繕工事は、まず建物の劣化状況を調査・診断し、その結果に基づいて修繕の範囲・仕様・優先順位を決定するのが一般的な流れであり正しい。施工者の選定に当たり、同一の設計図書と数量に基づいて複数社から見積りを取り、価格だけでなく施工実績や体制も含めて比較検討することは適切であり正しい。工事中は騒音・振動・臭気やバルコニーの使用制限など居住者に負担が生じるため、事前に説明会を開き理解と協力を求めることも適切であり、この記述も正しい。
問66-13

大規模修繕工事の実施体制に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①専門委員会(修繕委員会)を設置し、調査や検討を行わせることができる。
  • ②専門委員会は、総会に代わって工事の請負契約を締結する権限を有する。
  • ③委員には、理事以外の区分所有者を加えることも差し支えないとされる。
  • ④専門委員会は、標準管理規約上、理事会の諮問機関と位置付けられている。
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正解 ②専門委員会は、総会に代わって工事の請負契約を締結する権限を有する。
解説
標準管理規約55条は、理事会が特定の課題を検討させるために専門委員会を設置できると定めているが、専門委員会はあくまで調査・検討を行い理事会に助言・提案する諮問機関であって、意思決定機関ではない。工事の請負契約の締結は、総会の決議を経て理事長が管理組合を代表して行うものであり、専門委員会が総会に代わって契約を締結する権限を持つとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
大規模修繕工事のように専門的で長期にわたる検討を要する課題について、専門委員会(修繕委員会)を設置して調査・検討させることは標準管理規約が予定するところであり正しい。専門委員会が理事会の諮問機関と位置付けられているとする記述も正しい。委員の選任について、標準管理規約のコメントは、必要に応じ理事以外の区分所有者や外部の専門家の参加を認めることができるとしており、この記述も正しい。
問76-13

大規模修繕工事に関する次のア〜エの記述のうち、適切なものはいくつあるか。
ア 仮設足場の設置期間中は、防犯上の配慮として窓の施錠の徹底を居住者に周知することが望ましい。
イ 工事期間中は、バルコニーの私物を一時的に移動してもらう必要が生じることが多い。
ウ 工事完了後のアフター点検の実施は法令上の義務とされているため、あらかじめ契約に定めておく必要はない。
エ 工事監理者は、工事が設計図書のとおりに実施されているかを確認する役割を担う。

  • ①一つ
  • ②二つ
  • ③三つ
  • ④四つ
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正解 ③三つ
解説
アは正しい。仮設足場は外部からの侵入の経路となり得るため、足場の設置期間中は窓の施錠の徹底や防犯ネット・センサーの設置などの対策が求められる。イも正しい。バルコニーの床防水や手すりの塗装、隔て板の交換などを行うため、私物の一時移動や物置の撤去を依頼する必要が生じる。ウは誤りである。大規模修繕工事のアフター点検を義務付ける法令は存在せず、工事完了後1年目・2年目などの節目に点検を行う旨は、工事請負契約においてあらかじめ定めておく必要がある。エは正しい。工事監理者は、工事が設計図書のとおりに実施されているかを確認し、必要な指示を行う役割を担う。したがって適切なものは三つである。

他の選択肢が不適切な理由
ア・イ・エの三つが正しくウのみが誤りであるから、適切なものを一つ又は二つとする記述はいずれも該当しない。四つとする記述は、アフター点検が法令上の義務であるという誤った前提に気付かなかったものであり該当しない。保証の範囲・期間と点検の時期は、契約書と保証書で明確にしておくことが管理組合にとって重要である。
問86-13

大規模修繕工事中の居住者対応に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①工事の期間中は、居住者の建物への立入りを一切禁止するのが原則である。
  • ②居住者からの意見や苦情を受け付ける窓口を設けることが望ましい。
  • ③洗濯物を干すことができない日程は、事前に具体的に知らせておく。
  • ④工事の日程や当日の作業内容を、掲示や工事だより等で継続的に周知する。
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正解 ①工事の期間中は、居住者の建物への立入りを一切禁止するのが原則である。
解説
マンションの大規模修繕工事は、居住者が住みながら実施されるのが通常であり、居住者の立入りを一切禁止することはできない。むしろ、居住者の生活への影響を最小限に抑えつつ工事を進めるための調整と情報提供が管理組合と施工者に求められる。したがって、立入りを一切禁止するのが原則であるとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
工事の日程や当日の作業内容、注意事項を掲示板や工事だより、エレベーター内の掲示等で継続的に周知することは、居住者の不安と苦情を減らすうえで有効であり正しい。工事期間中の意見・苦情の受付窓口を管理組合又は施工者側に設け、対応の記録を残すことも適切であり正しい。塗装や高圧洗浄の日は洗濯物を屋外に干せないため、その日程を事前に具体的に知らせる必要があり、この記述も正しい。
問96-13

大規模修繕工事の保証及び完了後の対応に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①工事の部位ごとに保証期間を定め、保証書を受領しておくことが望ましい。
  • ②完了後の一定期間ごとにアフター点検を行い、不具合の有無を確認する。
  • ③請負人が負うべき契約不適合責任は、目的物の引渡し後ただちに消滅する。
  • ④工事の記録や図書は、次回の修繕の資料となるため保管しておく必要がある。
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正解 ③請負人が負うべき契約不適合責任は、目的物の引渡し後ただちに消滅する。
解説
民法559条・562条以下により、請負人は仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合に契約不適合責任を負い、注文者は不適合を知った時から1年以内にその旨を通知すれば、履行の追完や報酬の減額、損害賠償、契約の解除を請求することができる(民法637条1項)。引渡し後ただちに消滅するものではないから、この記述は誤りである。実務上は、これに加えて工事請負契約で部位ごとの保証期間を定めるのが一般的である。

他の選択肢が正しい理由
防水・シーリング・塗装・タイルなど部位ごとに保証期間を定め、施工者から保証書を受領しておくことは、後日の不具合に備えるうえで有効であり正しい。完了後1年目・2年目等の節目にアフター点検を実施し、不具合の有無を確認して無償是正を求めることも適切であり正しい。工事の記録、竣工図、数量、使用材料等の図書は次回の修繕の重要な資料となるため保管が必要であり、この記述も正しい。
問106-13

大規模修繕工事の資金に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  • ①原則として、修繕積立金を取り崩して工事費に充当することとなる。
  • ②積立金が不足する場合、住宅金融支援機構の融資を利用できる場合がある。
  • ③一時金の徴収や借入れは、規約や総会の決議に基づいて行う必要がある。
  • ④修繕積立金は、管理費と一体で経理することが望ましいものである。
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正解 ④修繕積立金は、管理費と一体で経理することが望ましいものである。
解説
標準管理規約28条は、修繕積立金を管理費とは区分して経理しなければならないと定めている。修繕積立金は将来の計画修繕のために長期にわたって積み立てる資金であり、日常の管理に充てる管理費と混同すると、本来の目的以外に費消されて将来の修繕に支障を来すおそれがあるためである。したがって、管理費と一体で経理することが望ましいとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
大規模修繕工事の費用は、原則として計画的に積み立ててきた修繕積立金を総会決議により取り崩して充当するものであり正しい。積立金が不足する場合には、独立行政法人住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資などを利用できる場合があり、この記述も正しい。区分所有者から一時金を徴収したり金融機関から借入れを行ったりするには、規約の定めや総会の決議が必要であり、この記述も正しい。

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