2026年版・5-8

苦情・トラブル対応と判例の一問一答

マンション管理士「管理組合の運営の円滑化に関すること」から、苦情・トラブル対応と判例に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-8

マンションにおけるペットの飼育をめぐる対応に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  • ①動物の飼育を禁止する規約の定めは、有効と判断された裁判例があるとされる
  • ②禁止する規約は、制定前から飼育している者にも及ぶとした裁判例があるのだ
  • ③飼育を認める場合には、使用細則で頭数や種類などを定めることが望ましいのだ
  • ④規約でペットの飼育を禁止することは、法律上一切許されないとされているのだ
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正解 ④規約でペットの飼育を禁止することは、法律上一切許されないとされているのだ
解説
区分所有法30条は、建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項について規約で定めることができるとしており、共同生活上の障害を防止する観点から動物の飼育を制限することも規約で定めることのできる事項に含まれる。裁判例もこうした規約の有効性を認めており、一切許されないとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
動物の飼育を禁止する規約の定めは、鳴き声や臭気、アレルギーなどによる共同生活上の障害を防止するという合理的な目的を有するものとして有効と判断された裁判例がある。また、規約の効力が制定前から飼育していた者にも及ぶとされた例もあり、この場合には一代限りの経過措置を設けるなどの配慮が実務上行われている。飼育を認める場合にも、頭数・種類・共用部分での取扱いなどを使用細則で具体的に定めておくことが望ましい。
問25-8

上階の住戸からの生活騒音についての苦情への対応に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  • ①管理組合は、当事者間の紛争について直ちに損害賠償の責任を負うとされるのだ
  • ②管理組合としては、まず事実関係の確認と当事者間の調整を試みるべきものである
  • ③音の発生の状況や時間帯を記録し、客観的な資料を残すことが有用であるのだ
  • ④騒音の程度が受忍限度を超えるかどうかが、違法性を判断する基準となるのだ
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正解 ①管理組合は、当事者間の紛争について直ちに損害賠償の責任を負うとされるのだ
解説
生活騒音は居住者間の私的な紛争としての側面が強く、管理組合が当然に損害賠償の責任を負うものではない。管理組合の役割は、共同の利益に反する行為に当たるかどうかを見極めつつ、事実の確認と当事者間の調整、必要に応じた使用細則の整備といった管理上の対応を行うことにある。

他の選択肢が正しい理由
裁判例は、騒音が社会生活上一般に受忍すべき限度を超えるかどうかによって違法性を判断しており、音の大きさだけでなく発生の時間帯・頻度・継続の期間や建物の構造なども考慮される。管理組合としては、まず双方から事情を聴き取って事実関係を確認し、当事者間の話合いを促すことが適切であり、その前提として発生の状況や時間帯を記録した客観的な資料を残すことが有用である。
問35-8

共用部分である廊下に私物を置いている居住者への対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①共用部分は誰でも自由に使えるため、私物の設置を制限することはできない
  • ②避難の妨げとなるため撤去を求め、応じない場合には法的措置を検討するのだ
  • ③管理組合は、予告なく私物を撤去して廃棄することが認められているとされるのだ
  • ④私物の設置は専有部分の使用方法の問題であり、管理組合は関与できないとされる
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正解 ②避難の妨げとなるため撤去を求め、応じない場合には法的措置を検討するのだ
解説
廊下や階段室などの共用部分は、区分所有者全員が共同で使用する部分であり、避難の経路としての機能も担っている。私物の放置はこの機能を損なう共同の利益に反する行為となり得るため、まずは書面等により撤去を求め、応じない場合には区分所有法57条に基づく行為の停止等の請求を検討することになる。

他の選択肢が不適切な理由
共用部分はその用法に従って使用しなければならず、誰でも自由に占用できるわけではないから、制限できないとするのは誤りである。管理組合が予告なく私物を撤去して廃棄する行為は自力救済に当たり、原則として許されない。また、廊下の使用は共用部分の使用方法の問題であって専有部分内の事柄ではないから、管理組合が関与できないとするのも誤りである。
問45-8

区分所有法が定める義務違反者に対する措置に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①専有部分の使用禁止を請求する場合には、弁明の機会を与える必要はないとされる
  • ②行為の停止等を訴えにより請求する場合には、特別の多数の決議が必要である
  • ③行為の停止等を訴えにより請求するには、集会の決議が必要とされているのだ
  • ④占有者に対しては、行為の停止等を請求することができないとされているのである
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正解 ③行為の停止等を訴えにより請求するには、集会の決議が必要とされているのだ
解説
区分所有法57条は、共同の利益に反する行為をした区分所有者に対する行為の停止等の請求を訴えをもって行う場合には、集会の決議によらなければならないと定めている。この決議は普通決議で足りる点が、使用禁止の請求や競売の請求との重要な違いである。

他の選択肢が不適切な理由
行為の停止等の請求に必要とされるのは普通決議であり、特別の多数の決議までは求められていない。専有部分の使用禁止を請求する場合には、特別の多数の決議に加えて、あらかじめ当該区分所有者に弁明の機会を与えなければならない。また、同条は占有者に対しても行為の停止等を請求できるとしているから、占有者には請求できないとするのも誤りである。
問55-8

賃借人が共同の利益に反する行為を継続している場合の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①引渡しを請求するには、賃借人ではなく賃貸人に弁明の機会を与えれば足りる
  • ②管理組合は、賃貸人である区分所有者の同意がなければ賃貸借契約を解除できない
  • ③管理組合は、賃借人に対しては何らの措置も採ることができないとされているのだ
  • ④集会の特別決議を経て、賃貸借契約の解除と専有部分の引渡しを請求できるのだ
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正解 ④集会の特別決議を経て、賃貸借契約の解除と専有部分の引渡しを請求できるのだ
解説
区分所有法60条は、占有者が共同の利益に反する行為をし、他の方法によってはその障害を除去して区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、集会の特別の多数の決議に基づき、訴えをもって当該行為に係る賃貸借契約の解除及び専有部分の引渡しを請求することができると定めている。管理組合が賃貸借契約の当事者でなくても、裁判によって契約を解除できる点にこの制度の特徴がある。

他の選択肢が不適切な理由
この請求は賃貸人である区分所有者の同意を要件とするものではなく、判決によって賃貸借契約の解除の効果が生じる。賃借人は専有部分の占有者として区分所有法の措置の対象となるため、何らの措置も採ることができないとするのは誤りである。また、弁明の機会は、措置の対象となる占有者に対して与えなければならない。
問65-8

分譲の時から特定の区分所有者に駐車場の専用使用権が認められているマンションにおいて、集会の決議により駐車場の使用料を増額する場合に関する次の記述のうち、判例に照らして最も適切なものはどれか。

  • ①必要性と合理性があり額が社会通念上相当なら、専用使用権者を拘束するのだ
  • ②専用使用権者の承諾がなければ、いかなる場合も増額の効力は生じないとされる
  • ③専用使用権は財産権であるから、集会の決議で変更することは一切できない
  • ④使用料の額の決定は、専用使用権者と管理組合の合意によるほかないとされるのだ
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正解 ①必要性と合理性があり額が社会通念上相当なら、専用使用権者を拘束するのだ
解説
最高裁は、分譲の際に設定された駐車場の専用使用権について、使用料の増額を内容とする集会の決議は、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された額が社会通念上相当な範囲のものであれば、専用使用権者はこれを受忍すべきであるとして、特段の事情がない限り決議の効力が及ぶとの判断を示している。専用使用権が対価を伴う継続的な利用関係である以上、事情の変化に応じた見直しが認められるという考え方に基づく。

他の選択肢が不適切な理由
専用使用権者の承諾が常に必要であるとすると、共用部分の管理を集会の決議によることとした区分所有法の趣旨が損なわれる。専用使用権が財産的な価値を有するとしても、その内容は共用部分の管理に関する事項であるから、集会の決議による変更が一切できないわけではない。もっとも、必要性や合理性を欠く一方的な増額は効力を否定され得るため、根拠となる資料を示すなど丁寧な手続が求められる。
問75-8

専有部分における住宅宿泊事業(いわゆる民泊)への対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①民泊は法律で認められた事業であるから、規約で禁止することはできない
  • ②民泊を禁止する場合には、規約にその旨を明確に定めておくことが望ましいのだ
  • ③規約に定めがなくても、理事会の決議のみで民泊を禁止することができるとされる
  • ④民泊を認める場合であっても、使用細則を定めることは許されないとされているのだ
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正解 ②民泊を禁止する場合には、規約にその旨を明確に定めておくことが望ましいのだ
解説
住宅宿泊事業法に基づく届出をするに当たっては、規約に禁止する旨の定めがないことなどが確認される仕組みとなっているため、管理組合の方針を規約の上で明確にしておくことが重要である。マンション標準管理規約も、専有部分の用途に関する規定において、住宅宿泊事業を営むことを可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例を示している。

他の選択肢が不適切な理由
住宅宿泊事業は法律上認められた事業であっても、区分所有者相互間の建物の使用に関する事項として規約で制限することができる。専有部分の用途の制限は規約で定めるべき事項であるから、規約の定めなく理事会の決議のみで禁止することはできない。また、民泊を認める場合であっても、鍵の受渡しの方法や苦情の対応窓口などについて使用細則を定めることは何ら妨げられない。
問85-8

上階の住戸からの漏水事故への対応に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  • ①漏水の原因が共用部分の配管にある場合には、管理組合が修繕の責任を負うのだ
  • ②漏水の原因が専有部分の設備にある場合、原則として当該区分所有者が負担する
  • ③原因が特定できない間は、管理組合は一切の対応を控えるべきものとされているのだ
  • ④原因を調査するため、管理組合が専有部分への立入りを求めることができるものとされる
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正解 ③原因が特定できない間は、管理組合は一切の対応を控えるべきものとされているのだ
解説
漏水の事故では被害の拡大を防ぐことが最優先であり、原因の特定を待つ間も、応急的な止水や被害の状況の記録、保険会社への連絡などを速やかに行う必要がある。原因が不明であることを理由に一切の対応を控えるという姿勢は、被害を拡大させ、管理組合の管理の責任を問われる事態を招きかねない。

他の選択肢が正しい理由
共用部分である配管に原因がある場合の修繕は管理組合の負担で行い、専有部分の設備に原因がある場合の修繕は原則として当該専有部分の区分所有者が負担する。また、マンション標準管理規約は、管理組合が管理を行うために必要な範囲内において他の者が管理する専有部分への立入りを請求できると定めており、原因の調査のための立入りを求めることができる。
問95-8

居住者間のトラブルへの管理組合の対応に関する次のア〜エの記述のうち、適切なものはいくつあるか。 ア 苦情を受け付けた場合には、受付の日時・申出の内容・対応の経過を記録として残す。 イ 一方の当事者の言い分のみを前提として、他方に対して直ちに制裁的な措置を採る。 ウ 使用細則に違反する行為が繰り返される場合には、細則そのものの見直しを検討する。 エ 対応が困難な事案では、専門家への相談や外部の相談窓口の活用を検討する。

  • ①一つ
  • ②二つ
  • ③三つ
  • ④四つ
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正解 ③三つ
解説
苦情への対応では、受付の日時・申出の内容・対応の経過を記録として残すこと、繰り返される違反について使用細則そのものの見直しを検討すること、対応が困難な事案において専門家や外部の相談窓口を活用することは、いずれも適切な対応でありア、ウ及びエの三つが適切である。

他の選択肢が不適切な理由
イは、一方の当事者の言い分のみを前提として他方へ直ちに制裁的な措置を採るもので、事実の確認を欠き公平性を損なううえ、後に名誉毀損などの責任を問われるおそれもあるため不適切である。適切な記述は三つであるから、一つ、二つ及び四つはいずれも数が合わない。
問105-8

規約の設定・変更が一部の区分所有者に与える影響に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を要するのだ
  • ②特別の多数の決議があれば、いかなる場合も承諾は不要であるとされているのだ
  • ③規約の変更は、集会の普通決議によって行うことができるとされている
  • ④規約の変更は、区分所有者全員の同意がなければ効力を生じないとされているのだ
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正解 ①一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を要するのだ
解説
区分所有法31条1項は、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないと定めている。専用使用権の廃止のように、特定の者だけが受忍すべき限度を超える不利益を受ける場合が典型例であり、多数決だけでは押し切れない歯止めとして機能する。

他の選択肢が不適切な理由
特別の多数の決議があっても、特別の影響を受ける者の承諾がなければ、その変更を当該区分所有者に対して主張することはできない。規約の設定・変更・廃止は特別の多数の決議によるべき事項であり、普通決議によって行うことはできない。他方、特別の多数の決議で足りるのであるから、区分所有者全員の同意がなければ効力を生じないとするのも誤りである。

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