2026年版・3-11

マンションの相続と区分所有権の一問一答

マンション管理士「法令及び実務3」から、マンションの相続と区分所有権に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-11

区分所有者が死亡し、その専有部分が相続された場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①相続人は、被相続人が滞納していた管理費の債務を承継しないとされる
  • ②相続人は、区分所有法8条にいう特定承継人として扱われる
  • ③相続人は包括承継人として、被相続人の管理費の債務を当然に承継する
  • ④相続人は、被相続人を拘束していた規約の定めに拘束されない
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正解 ③相続人は包括承継人として、被相続人の管理費の債務を当然に承継する
解説
民法896条は、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めている。したがって、専有部分を相続した者は包括承継人として、被相続人が負っていた管理費や修繕積立金の未払債務をそのまま承継する。区分所有法8条は売買や競売のような特定承継の場合に承継人へ請求できることを定めた規定であり、相続の場合は民法の一般原則によって当然に承継が生じる。

他の選択肢が不適切な理由
相続人が管理費の債務を承継しないとする内容は民法896条に反する。相続人は包括承継人であって特定承継人ではないから、8条の特定承継人として扱われるとする内容も正確ではない。また、46条1項により規約及び集会の決議は区分所有者の特定承継人にも効力を生ずるうえ、包括承継人である相続人が拘束されることは当然である。
問23-11

専有部分が数人の共有に属する場合の議決権の行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

  • ①共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならないものとされる
  • ②共有者は、それぞれの持分に応じて議決権を分割して行使することができる
  • ③共有者は、全員が一致しなければ議決権を行使することができない
  • ④共有者のうち持分が最も大きい者が、当然に議決権を行使することになる
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正解 ①共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならないものとされる
解説
区分所有法40条は、専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者一人を定めなければならないと定めている。遺産分割の協議が調わず専有部分が共同相続人の共有となっている場合にも、この規定により議決権行使者を一人に定める必要がある。集会の議事運営を混乱させないための規律である。

他の選択肢が不適切な理由
専有部分に割り当てられた議決権は一体として行使されるべきものであるから、持分に応じて分割して行使することはできない。共有者全員の一致を要求する規定も存在せず、議決権行使者の指定は共有物の管理に関する行為として持分の価格の過半数で決することができると解されている。持分が最大の者が当然に行使するという定めもない。
問33-11

相続人が数人あり、遺産分割の協議が調っていない段階における専有部分の帰属に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①専有部分は、遺産分割が終わるまで誰にも帰属しない状態になる
  • ②専有部分は、法定相続分の最も多い相続人に単独で帰属することになる
  • ③専有部分は、遺産分割が終わるまで管理組合が管理することになる
  • ④専有部分は、共同相続人の共有に属するものとして扱われることになる
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正解 ④専有部分は、共同相続人の共有に属するものとして扱われることになる
解説
民法898条1項は、相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属すると定めている。したがって、遺産分割が調うまでの間、専有部分は共同相続人の共有となり、区分所有法40条により議決権を行使すべき者一人を定める必要が生じる。管理組合としては、この段階でも共同相続人に対して管理費等を請求することができる。

他の選択肢が不適切な理由
相続開始と同時に権利義務は相続人に承継されるから、誰にも帰属しない状態になるとする内容は誤りである。法定相続分の多い相続人に単独で帰属するという規定もない。また、管理組合が相続財産を管理する権限を当然に有するわけでもない。
問43-11

被相続人が滞納していた管理費の債務の相続に関する次の記述のうち、判例の趣旨によれば、正しいものはどれか。

  • ①遺産分割が終わるまで、相続人の誰に対しても請求することができない
  • ②金銭債務であるから、法定相続分に応じて各相続人が分割して承継する
  • ③相続人の全員が、滞納額の全部について連帯して責任を負うことになる
  • ④遺産分割の協議で定めた相続人以外には、およそ請求することができない
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正解 ②金銭債務であるから、法定相続分に応じて各相続人が分割して承継する
解説
判例は、金銭債務のように給付の内容が分割可能な債務は、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて承継すると解している。したがって、被相続人が滞納していた管理費についても、管理組合は各相続人に対しその法定相続分に応じた額を請求することができる。

他の選択肢が不適切な理由
可分債務は分割承継されるから、遺産分割の終了を待たなければ請求できないとする内容は誤りである。相続人が全額について連帯責任を負うという法律上の根拠もない。また、遺産分割の協議で債務の負担者を定めても、それは相続人間の内部的な取決めにすぎず、債権者である管理組合の同意がない限り管理組合に対抗することはできない。
問53-11

区分所有者の相続人が相続の放棄をした場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①相続の放棄をした者も、被相続人の管理費の債務を負担することになる
  • ②相続の放棄は、相続の開始があったことを知った時から1年以内にする
  • ③相続人の全員が放棄したときは、相続財産清算人の選任を申し立てられる
  • ④相続の放棄がされると、その専有部分は当然に管理組合に帰属することになる
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正解 ③相続人の全員が放棄したときは、相続財産清算人の選任を申し立てられる
解説
相続人の全員が相続の放棄をすると相続人のあることが明らかでない状態となるため、民法952条により、利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所が相続財産清算人を選任する。滞納管理費の債権者である管理組合も利害関係人に当たり、清算人の選任を申し立てて相続財産から弁済を受けることができる。なお、令和5年4月1日施行の改正により、この職にある者の名称は相続財産管理人から相続財産清算人に改められている。

他の選択肢が不適切な理由
民法939条により、放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされるから、管理費の債務を負担することはない。放棄の期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であって1年以内ではない。また、放棄によって専有部分が管理組合に帰属するという規定も存在しない。
問63-11

区分所有者が死亡し、相続人のあることが明らかでない場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • ①家庭裁判所は、利害関係人の請求により相続財産清算人を選任することができる
  • ②管理組合は、利害関係人に当たらないため選任を請求することができないとされる
  • ③相続人が不存在であることが確定すると、専有部分は直ちに国庫に帰属する
  • ④相続人が不存在の場合には、滞納管理費の請求は一切できなくなるとされる
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正解 ①家庭裁判所は、利害関係人の請求により相続財産清算人を選任することができる
解説
民法952条1項は、相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により相続財産清算人を選任しなければならないと定めている。管理組合は滞納管理費の債権者として利害関係人に当たるから、清算人の選任を申し立て、相続財産の清算手続の中で債権の回収を図ることができる。

他の選択肢が不適切な理由
債権者である管理組合は利害関係人に当たるから、請求できないとする内容は誤りである。相続人が不存在であっても、清算手続を経て特別縁故者に対する財産分与がされる余地があり、それがされない場合に残余財産が国庫に帰属するのであって、直ちに国庫に帰属するわけではない。また、相続財産清算人を相手方として請求することができるから、請求が一切できなくなるとする内容も正しくない。
問73-11

遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  • ①遺産分割の請求は、相続の開始から3年を経過するとできなくなるとされる
  • ②遺産分割は、共同相続人の過半数の合意によってすることができる
  • ③遺産分割の効力は、分割の時から将来に向かってのみ生ずることになる
  • ④相続開始から10年を経過した後の分割は、原則として法定相続分による
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正解 ④相続開始から10年を経過した後の分割は、原則として法定相続分による
解説
民法904条の3は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、原則として特別受益及び寄与分に関する規定を適用しないと定めている。その結果、10年経過後の分割は法定相続分(又は指定相続分)を基準として行われることになる。遺産分割が長期間放置されて権利関係が複雑化することを防ぐため、令和3年の改正で設けられた規律である。

他の選択肢が不適切な理由
遺産分割の請求自体に3年の期間制限はなく、いつでも請求することができる。遺産分割は共同相続人全員の合意によってするものであり、過半数の合意では足りない。また、民法909条本文により遺産分割の効力は相続開始の時にさかのぼって生ずるから、将来に向かってのみ生ずるとする内容も誤りである。
問83-11

配偶者居住権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  • ①配偶者居住権は、他人に譲渡することができる財産権である
  • ②配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗することができない
  • ③配偶者居住権の存続期間は、必ず10年と定められている
  • ④配偶者居住権は、被相続人が所有していた建物であれば当然に成立する
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正解 ②配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗することができない
解説
民法1031条は、居住建物の所有者は配偶者居住権を取得した配偶者に対し配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うとし、この登記を備えた場合に第三者に対抗できるとしている。マンションの専有部分についても配偶者居住権が成立し得るため、管理組合としても登記の有無を確認して権利関係を把握しておく必要がある。

他の選択肢が不適切な理由
民法1032条2項により、配偶者居住権は譲渡することができない。存続期間は原則として配偶者の終身の間であり、遺産分割の協議や遺言で別段の定めをすることもできるから、必ず10年とする内容も誤りである。また、配偶者居住権は遺産分割、遺贈又は死因贈与などによって取得されるものであり、被相続人所有の建物であれば当然に成立するわけではない。
問93-11

マンションの相続に関する次のア〜エの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。 イ 相続人は、被相続人が滞納していた管理費の債務を承継しない。 ウ 相続による所有権の移転の登記の申請は、法律上の義務とされている。 エ 相続の放棄をした者は、放棄の時に相続財産を現に占有していたとしても、その保存について何らの義務も負わない。

  • ①一つ
  • ②二つ
  • ③三つ
  • ④四つ
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正解 ②二つ
解説
正しいものはアとウの二つである。アは区分所有法40条のとおりであり、専有部分が共有である場合には議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。ウについて、不動産登記法76条の2は相続による所有権の移転の登記の申請を義務とし、正当な理由なく怠った場合の過料の制裁も定めている。

誤りである記述の理由
イは誤りで、民法896条により相続人は被相続人の権利義務を包括して承継するから、滞納管理費の債務も承継する。エも誤りで、民法940条1項は、相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産を保存しなければならないと定めている。
問103-11

区分所有者が死亡した場合の管理組合の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①相続の手続が終わるまでの間は、管理費を請求してはならない
  • ②相続人が判明しない間は、その専有部分を管理組合が使用することができる
  • ③相続人が判明しない場合には、所有者不明専有部分管理命令を活用できる
  • ④相続人に対する請求は、遺産分割協議書がなければ一切することができない
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正解 ③相続人が判明しない場合には、所有者不明専有部分管理命令を活用できる
解説
2026年4月1日に施行された改正区分所有法は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分について、裁判所が利害関係人の申立てにより管理人を選任してその管理を命ずる所有者不明専有部分管理命令の制度を設けた。相続が発生したものの相続人の把握ができない住戸について、管理組合が対応を進める手段として活用することができる。

他の選択肢が不適切な理由
管理費の債務は相続によって承継されるから、相続の手続の終了を待たなければ請求できないというものではない。管理組合が相続人不明の専有部分を当然に使用できる権限もない。また、可分債務である管理費は法定相続分に応じて各相続人が承継するため、遺産分割協議書がなくても各相続人に対し相続分に応じた請求をすることができる。

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