2026年版・1-1

民法総則(制限行為能力者・意思表示)の一問一答

マンション管理士「法令及び実務1」から、民法総則(制限行為能力者・意思表示)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-1

マンションの一住戸を所有していたAが死亡し、17歳の子Bが単独でこれを相続した。Bが自らその住戸を第三者Cに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

  • ①法定代理人の同意を得ていなかったときは、その売買契約は初めから当然に無効である。
  • ②法定代理人の同意を得ていなかったときは、Bはその売買契約を取り消すことができる。
  • ③法定代理人の同意があった場合でも、Bはその売買契約を取り消すことができる。
  • ④法定代理人の同意がないときでも、Cが善意であれば取消しを拒むことができる。
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正解 ②法定代理人の同意を得ていなかったときは、Bはその売買契約を取り消すことができる。
解説
民法5条1項により、未成年者が法律行為をするには原則として法定代理人の同意を得なければならず、同条2項により、同意を得ないでした法律行為は取り消すことができる。そして民法120条1項により、行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人も取り消すことができるとされているから、Bは自ら売買契約を取り消すことができる。なお、成年年齢は民法4条により18歳であるから、17歳のBは未成年者である。

他の選択肢が不適切な理由
同意を得ないでした未成年者の法律行為は「取り消すことができる行為」にすぎず、取り消されるまでは有効に効力を有するから、初めから当然に無効であるとする記述は誤りである。また、法定代理人の同意を得てされた行為については行為能力の制限を理由とする取消しはできないから、同意があっても取り消せるとする記述も誤りである。さらに、民法5条2項には相手方の善意を保護する規定が置かれておらず、取消しは相手方の善意・悪意を問わず主張できるから、相手方が善意なら取消しを拒めるとする記述も誤りである。
問21-1

マンションの一住戸を所有するAが成年被後見人である場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤っているものはどれか。

  • ①Aが成年後見人の同意を得て住戸を売却しても、その契約は取り消すことができる。
  • ②成年後見人がAの居住用建物を売却するには、家庭裁判所の許可を得る必要がある。
  • ③Aが日用品を購入する行為についても、成年後見人はこれを取り消すことができる。
  • ④Aは、事理を弁識する能力を一時回復したときは、遺言をすることができる。
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正解 ③Aが日用品を購入する行為についても、成年後見人はこれを取り消すことができる。
解説
民法9条本文により成年被後見人の法律行為は取り消すことができるが、同条ただし書は「日用品の購入その他日常生活に関する行為」を取消しの対象から除外している。これは成年被後見人本人の自己決定を尊重し、日常生活の平穏を確保する趣旨である。したがって、日用品の購入まで取り消せるとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
成年後見人には同意権が与えられておらず、同意を得てされた行為であっても民法9条本文により取り消すことができるから、同意を得た売却も取り消せるとする記述は正しい。また、民法859条の3により、成年後見人が成年被後見人の居住の用に供する建物又はその敷地を売却するには家庭裁判所の許可が必要であるから、この記述も正しい。さらに、民法973条1項は、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において医師2人以上の立会いのもとで遺言をすることを認めているから、この記述も正しい。
問31-1

マンションの一住戸を所有するAが被保佐人である場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

  • ①保佐人は、当然にAを代理して当該住戸を売却する権限を有している。
  • ②Aが保佐人の同意を得ずにした借財を、保佐人が取り消すことはできない。
  • ③Aが当該住戸について3年間の賃貸借契約を結ぶには、保佐人の同意を要する。
  • ④Aが当該住戸を第三者に売却するには、保佐人の同意を得なければならない。
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正解 ④Aが当該住戸を第三者に売却するには、保佐人の同意を得なければならない。
解説
民法13条1項3号は「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為」を、被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為として掲げている。マンションの一住戸の売却はこれに当たるから、Aは保佐人の同意を得る必要がある。同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした行為は、同条4項により取り消すことができる。

他の選択肢が不適切な理由
保佐人には当然には代理権が与えられておらず、民法876条の4により特定の法律行為について代理権を付与する旨の家庭裁判所の審判を受けて初めて代理権を有するから、当然に代理権があるとする記述は誤りである。また、民法120条1項により、同意をすることができる者である保佐人も取消権を有するから、保佐人が借財を取り消せないとする記述も誤りである。さらに、民法13条1項9号が同意を要求するのは民法602条に定める期間を超える賃貸借であり、建物の賃貸借についてのその期間は3年であるから、3年間の賃貸借は同意を要しない。
問41-1

制限行為能力者と取引をした相手方の催告権に関する次のア〜エの記述のうち、民法の規定によれば正しいものの組み合わせはどれか。
ア 行為能力者となった本人に対し1箇月以上の期間を定めて催告し、その期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなされる。
イ 被保佐人本人に対し1箇月以上の期間を定めて保佐人の追認を得るべき旨を催告し、その期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を追認したものとみなされる。
ウ 未成年者の法定代理人に対し1箇月以上の期間を定めて催告し、その期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなされる。
エ 特別の方式を要する行為について催告した場合において、その期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を追認したものとみなされる。

  • ①アとイ
  • ②アとウ
  • ③イとエ
  • ④ウとエ
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正解 ②アとウ
解説
正しいものはアとウであり、その組み合わせが正解となる。アについて、民法20条1項は、制限行為能力者が行為能力者となった後に本人へ1箇月以上の期間を定めて催告し、その期間内に確答を発しないときは追認を擬制すると定めているから正しい。ウについて、同条2項は、制限行為能力者がなお行為能力者とならない間に法定代理人等へ催告し、その期間内に確答を発しないときも同様に追認を擬制すると定めているから正しい。

他の選択肢が不適切な理由
イについては、民法20条4項が、被保佐人又は同意権付与の審判を受けた被補助人本人に対して保佐人又は補助人の追認を得るべき旨を催告した場合において、その期間内に追認を得た旨の通知を発しないときは「取り消したものとみなす」と定めており、追認の擬制とは逆であるから誤りである。エについても、同条3項が、特別の方式を要する行為についてその期間内に方式を具備した旨の通知を発しないときは「取り消したものとみなす」と定めているから誤りである。したがって、これらを含む組み合わせはいずれも正解とならない。
問51-1

未成年者Aが、自己が成年者であると相手方Bに信じさせるため詐術を用いて、Bとの間でマンションの一住戸の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

  • ①Aは、行為能力の制限を理由としてこの売買契約を取り消すことができない。
  • ②Aの法定代理人であれば、行為能力の制限を理由に契約を取り消すことができる。
  • ③詐術に当たるのは証書を偽造した場合に限られ、他の言動は考慮されない。
  • ④Aが未成年者であることをBが知っていたときも、Aは取り消すことができない。
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正解 ①Aは、行為能力の制限を理由としてこの売買契約を取り消すことができない。
解説
民法21条は、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができないと定めている。相手方の信頼を保護し、制限行為能力者保護制度の濫用を防ぐ趣旨である。したがって、詐術を用いたAは行為能力の制限を理由に売買契約を取り消すことができない。

他の選択肢が不適切な理由
民法21条の効果は取消権そのものを封じるものであり、本人だけでなく法定代理人など取消権者全員が取消しをできなくなるから、法定代理人であれば取り消せるとする記述は誤りである。また、判例は、制限行為能力者であることを黙秘していた場合でも、他の言動と相まって相手方を誤信させ又は誤信を強めたときは詐術に当たるとしているから、証書の偽造に限られるとする記述も誤りである。さらに、相手方が制限行為能力者であることを知っていた場合には「信じさせるため」という要件を欠き民法21条は適用されないため、この場合も取り消せないとする記述も誤りである。
問61-1

Aは、その所有するマンションの一住戸について、Bと通謀して仮装の売買契約を締結し、Bへの所有権移転登記を了した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。

  • ①Bから当該住戸を買い受けたCは、善意のほか無過失でなければ保護されない。
  • ②AB間の売買契約は当事者間では無効であり、Aは登記の抹消を請求できる。
  • ③Bから当該住戸を買い受けた善意のCは、登記を備えていなくても保護される。
  • ④Bの一般債権者であっても、善意で当該住戸を差し押さえた者は保護される。
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正解 ①Bから当該住戸を買い受けたCは、善意のほか無過失でなければ保護されない。
解説
民法94条2項は「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」と定めており、条文上、第三者に要求されるのは善意のみである。判例も、虚偽表示の目的物を譲り受けた第三者は善意であれば足り、無過失までは要しないとしている。したがって、無過失を要するとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
通謀虚偽表示は民法94条1項により当事者間では無効であるから、Aが所有権に基づいて移転登記の抹消を請求できるとする記述は正しい。また、判例は、民法94条2項の第三者が保護されるために登記を備えることを要しないとしているから、登記がなくても善意の買主が保護されるとする記述も正しい。さらに、判例は、仮装譲受人の一般債権者であっても目的不動産を差し押さえた者は同項の第三者に当たるとしているから、この記述も正しい。
問71-1

Aは、マンションの一住戸をBから購入する契約を締結したが、その意思表示に錯誤があった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

  • ①錯誤による意思表示は無効であり、Aは誰に対しても無効を主張することができる。
  • ②Aに重大な過失があるときは、Bが同一の錯誤に陥っていた場合も取消しできない。
  • ③錯誤を理由とする取消しは、過失のある善意の第三者にも対抗することができない。
  • ④動機の錯誤による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされた旨の表示を要する。
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正解 ④動機の錯誤による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされた旨の表示を要する。
解説
民法95条1項2号は、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(いわゆる動機の錯誤)を取消しの対象としつつ、同条2項において、この場合の取消しは「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる」と定めている。したがって、基礎事情が表示されていたことが必要である。

他の選択肢が不適切な理由
平成29年改正後の民法95条1項は、錯誤の効果を無効ではなく取消しと定めているから、無効であって誰にでも主張できるとする記述は誤りである。また、民法95条3項2号は、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合には、表意者に重大な過失があっても取消しができると定めているから、この場合も取消しできないとする記述も誤りである。さらに、同条4項が対抗できない相手を「善意でかつ過失がない第三者」と限定している以上、善意でも過失のある第三者には取消しを対抗できるから、最後の記述も誤りである。
問81-1

マンションの一住戸の売買契約における詐欺又は強迫に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤っているものはどれか。

  • ①詐欺による取消しは、善意でかつ無過失の第三者に対抗することができない。
  • ②強迫による取消しは、善意でかつ無過失の第三者に対しても対抗することができる。
  • ③第三者が詐欺を行った場合、相手方の善意悪意にかかわらず取り消すことができる。
  • ④第三者による強迫の場合、相手方が善意無過失であっても取り消すことができる。
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正解 ③第三者が詐欺を行った場合、相手方の善意悪意にかかわらず取り消すことができる。
解説
民法96条2項は、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合には、「相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り」その意思表示を取り消すことができると定めている。相手方が善意無過失であれば取消しはできないから、相手方の善意悪意を問わず取り消せるとする記述は誤りである。

他の選択肢が正しい理由
民法96条3項は、詐欺による取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗することができないと定めているから、詐欺の取消しと第三者に関する記述は正しい。同項が保護の対象を詐欺の場合に限っており強迫について同様の規定を置いていないのは、強迫を受けた表意者の保護を厚くする趣旨であるから、強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できるとする記述も正しい。同様に、民法96条2項も第三者による詐欺のみを対象としているため、第三者による強迫の場合は相手方の善意悪意を問わず取り消せるとする記述も正しい。
問91-1

意思表示に関する次のア〜エの記述のうち、民法の規定によれば正しいものはいくつあるか。
ア 表意者が真意でないことを知ってした意思表示は、相手方がその真意でないことを知っていた場合には無効となる。
イ 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
ウ 意思表示の相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げたときは、その意思表示は効力を生じない。
エ 表意者が通知を発した後に死亡したときは、その意思表示は効力を生じない。

  • ①一つ
  • ②二つ
  • ③三つ
  • ④四つ
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正解 ②二つ
解説
正しいものはア及びイの二つである。アは民法93条1項ただし書の内容であり、相手方が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは心裡留保による意思表示は無効となるから正しい。イは民法97条1項が定める到達主義そのものであり正しい。

他の選択肢が不適切な理由
ウについては、民法97条2項が、相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは「通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」と定めており、意思表示は効力を生ずるから誤りである。エについては、民法97条3項が、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても意思表示はそのために効力を妨げられないと定めているから誤りである。したがって正しいものは二つであり、一つ・三つ・四つとする記述はいずれも誤りである。
問101-1

取り消すことができる行為の追認及び取消権の期間の制限に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

  • ①取消権は、行為の時から10年を経過したときは、時効によって消滅する。
  • ②制限行為能力者は、行為能力者となる前でも単独で追認をすることができる。
  • ③取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないと時効消滅する。
  • ④取り消された行為は、取消しの時から将来に向かって無効となるにとどまる。
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正解 ③取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないと時効消滅する。
解説
民法126条前段は、取消権は追認をすることができる時から5年間行使しないときは時効によって消滅すると定めている。「追認をすることができる時」とは、民法124条1項により、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った時である。

他の選択肢が不適切な理由
民法126条後段は、行為の時から20年を経過したときも取消権が消滅すると定めているから、10年とする記述は誤りである。また、民法124条1項により、追認は取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ効力を生じないから、制限行為能力者が行為能力者となる前に単独で追認できるとする記述も誤りである。さらに、民法121条は、取り消された行為は初めから無効であったものとみなすと定めており、遡及効を有するから、将来に向かって無効となるにとどまるとする記述も誤りである。

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